普段あまり意識してなかったので全然気付いていなかったのですがいつの間にか1 Google Fonts のデフォルトダミーテキストが世界人権宣言になってたのを見て、そういえばこういうのって普通なんだっけ?と思ったので思い出しながらメモってみます。
Grumpy wizards make toxic brew for the evil queen and jack
以前の Google のサンプルテキストはたしかこれだったはず。
意味は、「不機嫌な魔法使いたちが意地悪な女王と息子に毒薬を作る」みたいな感じ。
なんのこっちゃ?ってなりますが、この文章そのものに深い意味はなくて、この文章の構造が重要なのです。
これはパングラムといって、1文のなかでアルファベットすべての文字を最低1文字ずつつかった文章を作るという言葉遊びの1種です。
同じ文字を複数回使ってもよいけれどもなるべく短いほうがよいとされてます。
日本語だといろは歌が有名ですね。
なんで書体の見本にパングラムを使うのかというと、多分単純に文章を読むだけですべてのアルファベットが出てくるからなんでしょうね。
その他のよく見かける例
パングラムを集めたサイトとかはたくさんありますが、その中でもフォントのテストとかで有名なやつをまとめてみます。
The quick brown fox jumps over the lazy dog
訳すと、「素早い茶色のきつねはのろまな犬を飛び越える」となります。
これは、Adobe Fonts とかでサンプルに使われてたりしますね。
あのイーハトーヴォのすきとおった風
macOS の Font Book では、日本語のフォントは宮沢賢治のポラーノの広場が引用されてました。
あのイーハトーヴォのすきとおった風、夏でも底に冷たさをもつ青いそら、うつくしい森で飾られたモリーオ市、郊外のぎらぎらひかる草の波。
ですが、今はもうこの文章は見られないみたいです。
Font Book なんてそんなに頻繁に見てないのでいつ変わったのかはわかりませんが、気がついたときにはこうなっていました。
足の速い茶色のキツネがぐうたら犬を飛び越えて逃げます。
上記の The quick brown fox... の日本語訳っぽいですね。
ちなみに欧文フォントにきりかえると
The quick brown fox jumps over the lazy dog and runs away.
ということで、原文(?)のほうが見られました。
もともと Font Book では欧文フォントの場合例文は出てなくて、アルファベットの見本がいきなり出てたみたいなのでここは進歩なのかな?
それにそろえたという意味ではそうなんでしょうけど、なんか一気に味気なくなってしまいましたね。
ちなみにパングラムをつくって遊ぶ場合、出来るだけ短くするらしいんですが、なぜか macOS の The quick brown fox... は一般的に知られているのに加えて and runs away
が追加されていて微妙に長くなってます。
Windowsでコンピュータの世界が広がります
Windows のフォントテストといったらこれですね。最近はどうなんでしょう?
Mac に引っ越してから Windows 事情はわからぬです。
あと、ずっと気になってたこととしては、これ、英語版とかだとどうなってるんでしょうね。
おまけ
New job: fix Mr. Gluck's hazy TV, PDQ!
(新しい仕事:グルックさんのもやがかかったテレビを修理、大至急!)
パングラムはすべてのアルファベットを含みつつ、なるべく短い方が良いといいましたが、そうすると最短は26文字となります。
これを完全パングラムというそうで、先ほどのキツネや魔女の話と比べても作るのは相当に難しいみたいです。(重複アリでも28文字とかかなりすごいのもあるみたいですが)
上記の New job ... は、 アルファベット26文字と英語でよく使われる5つの記号:
、.
、,
, '
, !
の併せて31文字を1つずつということで、これ考えた人ほんとすごいなぁ。
ちなみに PQD は Pretty Damn Quick の略で、大至急みたいな意味らしいのですが、こういった略語を使わないで作る人もいるらしいです。
例文が挙がってましたが……
Cwm fjord veg balks nth pyx quiz.
これは英語なのか…?
ちなみに日本語の例ででてきたいろはうたは、ひらがな50個を1つずつしかつかってないので、日本語版完全パングラムということになるそうです。
おまけ2
Wikipedia の The quick brown fox jumps over the lazy dog のページに載っていた Microsoft Word で =rand()
といれるとダミーテキストとしてこの The quick brown fox ... が出る、とあったのですが、日本語だと全然関係ないダミーテキストでした。
そもそも今はもう出ないのかなぁ?
ついでなので、 Google Docs でもやってみましたが、こっちはそもそも何も起こりませんでした。まぁよく考えたらこれから文書を作るためにワードプロセッサ立ち上げたのにダミーテキスト入れてどうするんだって気もしますよね。。
参考
Footnotes
- どうも調べてみたところ、2016年のリニューアル時点ではもう変わっていたっぽいです。ほんとに全然気付いてなかった。。 ↩